室内音響の評価
■総合評価
これまで室の音響性能の評価を数値として表す方法を説明してきましたが、最終的には人が実際に耳で聞いて、その聞こえ方を評価しなければなりません。話し声に関しては、どのくらい聞き取りやすいかを「音声明瞭度試験」を行って1つの数値で表現できるので、評価方法の1つの理想型と考えられます。しかし、音楽に関しては非常に複雑なのでまだ確定した方法はありませんが幾つかの提案がされています。
@残響時間RT、EDT、C値式、RR式について、許容できる範囲が次表のように示されています。
コンサートホール評価の基準値
評価尺度 |
平均 |
許容範囲 |
RT(s) |
2.1 |
1.4 〜 2.8 |
EDT(s) |
2.1 |
1.8 〜 2.6 |
C(dB) |
0 |
-2.0 〜 +2.0 |
RR(dB) |
0 |
-0.5 〜 +0.5 |
・RT(reverberation time):残響時間
・EDT(early decay time):ホール内の残響感は基本的に残響時間によって決まりますが、同じホール内でも場所によって実際に耳で聞いた残響感が異なる場合が多くあります。残響感は初期の減衰傾斜で決まると言われているので、残響時間を補正する量として、音を止めてから10dB減衰するまでの時間を基に計算した残響時間をEDTといいます。
・C(clarity):音楽に対する明瞭度を評価するもので、このC値が大きいほど明瞭度が良いということです。
・RR(room response):音が真正面以外から来た時、頭が障害になって右耳と左耳における振幅や位相(到来時間)が異なるので、到来する音の方向や距離、空間の広がりを感じることができます。これを両耳効果といい、RRは、この両耳効果を評価するために定義されたものです。
Aコンサートホールの音響評価法として、4つのパラメータが提案されています。x1:音の強さ、x2:初期反射音の遅れ時間、x3:残響時間、x4:IACCの4つで、x1、x2、x3は”時間的・単耳的基準”で、x4は音の広がりに関するものです。
これらは、それぞれの最適値によって次式のように正規化されています。
x1 = 20log10(P/Popt)= L - Lopt
(dB)
x2 = log10(Δt1 / Δt1opt)
x3 =
log10(T / Topt)
x4 = IACC
・IACC(両耳間相互相関度):右耳と左耳に入ってくる音響信号が異なるほど音の広がり感が大きくなります。その異なる程度を数学的に表したものを相互相関関数といい、室内音響の評価のために定義されたものがIACCです。
IACCの測定値が小さいほど広がり感が大きくなります。
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